愛される「きゅうり」の育て方

      2016/08/30

 (2016年版の慣行レベルにおける、農薬・化学肥料の使用状況をもとに考察)

 

 

『きゅうり』は生涯の1/3、農薬を浴びています。

きゅうり・ナス・トマト

きゅうり・ナス・トマト

 

 

夏には欠かせない野菜ですね。

 

 

きゅうり・ナス・トマトは

日本の農業における、[農薬依存型] 野菜の代表格です。

 

そして、これらの野菜は、残留農薬においても上位を占めています

 

わたしは、これらの野菜を貶(おとし)めるために、言っているのではありません。

データを見れば誰でも汲み取れる、事実です。

 

C県慣行レベル

C県の慣行レベル(2016年版)

 

 

これは、各都道府県が公表している慣行レベルの一例です。

 

慣行レベルとは、特別栽培農産物の認定を与えるための基準となります。
特別栽培の目的は持続可能な農業を目指すために、農薬や化学肥料の使用を減らすこと。

そして、地域の農産物をブランド化していこうという試みです。

 

特別栽培の認定を与えるには、基準が必要となります。

 

そこで各都道府県は、地域で慣行的に行われている農業における、農薬や化学肥料の使用状況を、農産物ごとに策定します。
実際の使用量ではなく、あくまで「都道府県が定めた基準」として表現されています。
しかし、一方で地域の慣例を基に策定しているので、若干の矛盾を含んだ表現です。

これを基に、農薬・化学肥料の使用量を基準値の半分以下に抑えることで、特別栽培農産物として認定しています。

 

 

でも!!

少し待って!!!

 

 

この情報だけを見て、勘違いしないでください!!!!

 

 

よく見かける、情報の誤認。

 

 

 

「きゅうりは農薬回数が○○回だから、皮をむいて食べて!!」

「イチゴは農薬を除去できる洗剤につけて!!」

 

きゅうり皮むきイチゴ浸水

イメージ写真

 

そうじゃ、

なー くー てー ……。

 

まずは、情報を正しく読み解いて、事実を積み重ねましょう。

 

 

 

ここでひとつ、問題です!

 

Question:

きゅうり・ナス・トマト、これらに共通することはなに?

 

 

 

……。

 

 

 

思いつきました?

 

 

 

 

Answer:

きゅうり・ナス・トマトに共通すること

 

  • 果実を収穫します
  • 一年中、売り場に並んでいます

 

もちろん、この他にも共通点はあります。

しかし、

[農薬依存型] 野菜。
こう呼ぶ理由は、この共通点に起因しています。

 

 

 

では、なぜ農薬を必要とするのか?

 

 

これは、肥料が原因です。

 

 

多くの農家さんは、すでに気が付いています。
肥料を入れれば入れるほど、虫や病気を呼び寄せている。
農家さんはこのことを、体感的に感じています。

 

「農家さんが気づいているの?」

「でも、わたしは農家じゃないから……?」

「その根拠はなに?」

 

と、思われますよね。

 

 

 

まず、肥料を入れる目的は一つ。

 

安定した収獲。

 

特に、果実を収穫する農作物ではそれが顕著になります。

理由は簡単。

植物は根を伸ばし、葉をつくり、茎を伸ばし、花をつけ、実を成らし、種を落とす。
この順番が逆になることはありません。

葉や茎を収穫する野菜と、実や種を収穫する野菜では、プロセスに要する時間とエネルギー量が異なります。
これによって一般的に、果実を収穫する農作物の方が、肥料を多く必要とすると考えられています。

 

 

さらに、

播いた種のすべてが健やかに育つとは限りません。

 

 

  • 農作物に元気がない。
  • 葉っぱが黄色くなる。
  • 実の成りが悪い

 

 

農家さんの気持ちになってください。

 

農作物に元気がなく、実りが悪い。
収獲が出来なければ、収入が減ってしまいます。

 

こんな時、農家さんの気持ちになった「わたしたち」は、何ができるでしょうか?

 

一般的に考えると

 

「肥料を与える」

 

これが一番、分かり易くシンプルでしょう。

そして、効果がすぐ現れるので、収穫への「不安感」が取り除かれますよね。

 

 

しかし、

 

 

自然の道理に立ち返ってみましょう。

作用(効果)があれば、必ず反作用があります。
副作用の記載されていない医薬品は、存在しません。

 

 

「肥料」も同じです。

 

 

肥料を与えられた農作物は、手近な肥料を得ることで根を深く張ることをしなくなります。

土のうえではスクスク育っているように見えても、土の下では怠けているのです。

これは人の世でも同じこと。

 

建物

イメージ写真です

  • 上物は古くとも、土台のしっかりした古民家
  • 上物はキレイでおしゃれ、基礎は手抜き工事のマンション

 

どちらが、タフでしょうか……?

 

お家にとっての土台(基礎)は、植物にとったらにあたります。
しっかりとした土台のお家に住みたいですよね?

 

 

 

 

そして、肥料とは外部から持ち込まれるもの。

その畑には存在していなかった、「異質なるもの」です。

 

 

「生物多様性」が話題になる昨今です。

こんなニュースを耳にしたことがありませんか?

 

人為的に持ち込まれた「外来魚」によって、「在来魚」の数が減少。

 

目に見えて、研究・調査の対象になるから、このような話題になり、問題提起もされます。

しかし、人目に付きにくい土の中はどうでしょうか?

 

 

「同じことが起きているのでは?」

 

 

と、想像できないでしょうか。

 

 

 

土中の微生物や細菌、虫や動物、そして植物。
これらは、わたしたちの目に見えないところで常に、「多様性」を維持し続けている。

そこへ人間が、外部から異質なる「肥料」を投入する。
土中の秩序は、少しずつ、バランスを崩していきます。

それはきっと、我々の目には見えないレベルで崩壊していくのでしょう。

 

 

そして生物は、新たな「多様性」を構築するために、活発に動きはじめます。

 

 

時として、

 

異質なるものによって、「淘汰」される者もいるでしょう。

異質なるものを分解するために、突如性質が変わる者もいるでしょう。

異質なるものを吸い上げた農作物を、駆逐して分解する者もあらわれるでしょう。

 

 

「多様性」を再構築する現象。

農業の場において、これが顕著に現れることがあります。

 

 

 

病気・害虫

 

 

 

さぁ、困った。

「肥料」によって弱体化している植物の生命力(根の力)では、病気や害虫に打ち勝つことはできません。

 

良かれと思った、「肥料」の投入。
一時的に農作物は元気になり、実の成りもよくなりました。

 

しかし、

 

「肥料」は、「病気」と「害虫」を呼び込んでしまいました。

 

 

 

さて、農家さんの気持ちになった「あなた」ならどうするでしょうか?

 

 

 

虫をひとつひとつ、取り除く?

「がんばれ~」と、声をかけてあげる?

 

 

 

それもいいですが……。

 

 

 

農薬をまく?

 

 

コストがかかりますが、これなら手間なく効果が期待できますね。

※農薬に耐性を持つ菌や虫が存在しますので、効果は絶対ではありません。

 

 

ですが、またひとつ、異質なるものを畑に持ち込んだことになりますね。
そして、肥料の量に比例して、農薬の量も増えていきます。

これは、慣行レベルを見れば火を見るよりも明らかです。

 

 

きゅうり・ナス・トマトの共通点

 

  • 果実を収穫します

 

これが、農薬や化学肥料に依存しやすい一因であることが、見えてきたかと思います。

 

 

A県の慣行レベル-1

A県における慣行レベルの抜粋(2016年版)

 

世間は、このようなデータを使って情報を操作しています。

よく言えば誤認ですが、情報を間違って解釈したうえに拡散しています。

つまり、無意識の情報操作と言えます。

 

 

「わたしたちが口にしているきゅうりは、82回農薬を使用されている!!!」

 

 

センセーショナルでインパクトがあるから、ついつい表現したくなるのでしょうが、

 

 

これは、

 

 

間違いです!

 

 

 

 

では、上記の表の「きゅうり」を例に挙げて説明します。

 

1.慣行レベルの表記方法は、各都道府県によって異なります。

 

第一関門ともいえる表記の非統一性。
これによって、素人が慣行レベルを正確に認識することは、ほぼ無理です。

わたしも、全国のデータを集めて平均値を出してみようと試みました。
しかし、出来上がったデータは……。

意味の分からないものが出来上がり、そして、あきらめました。

 

例を幾つかあげます。

 

栽培期間を複数に分類
(前作の影響・播種・育苗・定植・収穫)

農薬の用途によって分類
(種子消毒・生育期・除草剤)

栽培方法(目的)によって分類
(早熟・露地・半促成・促成・抑制)

 

これらの分類に従って、農薬の使用回数を算出しています。

 

専門用語の意味が分からなくても、大丈夫です。
専門用語を理解したところで、各地によって表記が統一されていないので、そうそう読み取れるものではありません。

 

 

2.「主な収穫期間」の落とし穴

 

 

A県の慣行レベル-きゅうり

A県における「きゅうり」の慣行レベル(2016年版)

 

上記に「主な収穫期間」という項目があります。

 

「11~6月」となっていますね。

 

ココに盲点があります。

 

これ、播種・育苗・定植がなくて、いきなり収穫期間となってしまっています。
つまり実際の栽培期間(種まき~収穫)のことを指していないのです。

収穫期間だけ、農薬や化学肥料を撒くわけではありませんよね。

 

この表を、可能な限り正確に読み取るには、

「主な栽培期間」+「主な収穫期間」 と、なります。

きゅうりは、発芽から収穫までが約60日です。

 

よって、農薬や化学肥料が施されるであろう期間は

 

「9~6月」 となります。

 

この期間内での農薬・化学肥料の使用量が、A県の定めた、慣行的に行われている「きゅうり」の栽培基準です。

 

農薬は82回、化学肥料は67㎏/10a

 

あと、誤解の無いように

9月~6月までの9か月間。
時期をずらして長期に収穫できるように、複数の「きゅうり」を栽培しています。

つまり、ひとつの「きゅうり」が82回もの農薬を浴びている、と、言うわけではないということです。

 

ひとつの「きゅうり」が施された農薬回数を、単純に計算すると以下になります。
(30日/月として計算)

 

82回(慣行レベル) ÷ 9ヶ月(全栽培期間) × 3ヶ月(ひとつの「きゅうり」の生涯90日) 

 

答えは

 

27.33回

 

 

これがA県における、慣行的に行われている「きゅうり」の栽培の基準を読み解いた、ひとつの「きゅうり」に施される、おおよその農薬回数(有効成分回数)となる。

 

 

「きゅうり」の生涯は約90日

「農薬」の回数は27.33回

 

 

生涯の1/3は農薬に晒されているのである。

 

 

3.節減対象農薬

 

全ての農薬(有効成分)が、カウントの対象となっているわけではありません。

「有機農産物JAS規格で、使用可能な化学合成農薬」を除外したものとなります。

 

化学肥料も、すべてが慣行レベルにカウントされるわけではありません。

三大肥料成分、窒素・リン酸・カリウムのうち、窒素のみが節減対象としてカウントされています。

 
 

4.散布回数と有効成分回数

 

これに関しては、比較的簡単です。
1回の散布で、有効成分が3種類配合されているのであれば、

カウントは、3回。

 

三種混合ワクチンみたいなものです。

 

5.栽培期間が長い = 農薬・化学肥料を施す期間が長い

 

栽培期間とは、種まき~最終収穫までを指します。

性質上、そもそも栽培期間が長い野菜は、当然、農薬・化学肥料の量が多くなります。

そして、

ハウスや加温施設を利用した、促進・抑制栽培などで一年中収穫される野菜は、さらに栽培期間が長くなります。

加えて、

野菜が本来もつ旬の時期を外した栽培では、何かを加えることによって成立しています。

それは、

ハウス栽培、加温設備、肥料です。

 

肥料と農薬の比例関係については、すでにお話した通りです。
つまり、肥料が増えるにつれ、農薬の量もまた増えていきます。

 

 

 

きゅうり・ナス・トマト、もうひとつの共通点

 

  • 一年中、売り場に並んでいます

 

旬を外した栽培が、きゅうり・ナス・トマトの慣行レベルにおける、農薬・化学肥料の使用量を押し上げているのです。

 

 

きゅうりは、発芽から収穫までが約60日。
最終の収穫までを加味すると、おおよそ90日と言ったところが、きゅうりの一生です。

ほぼ一年中、市場に流通しています。
スーパーはもちろんのこと、ファミレスやコンビニのサラダには大体入っていますよね。

 

それほどに、わたしたちの食生活に身近な野菜、きゅうり。

 

 

 

当たり前のように、口に運ぶ前に、

少しだけ、きゅうりの一生について、

思いを馳(は)せてみませんか?

 

 

 

 

まとめ

ハート

愛される「きゅうり」の育て方とは

 

 

あなたは、

 

生涯の1/3、農薬を浴びた『きゅうり』に、愛を感じますか?

 

 

農家さんは、「出荷用と自家用の畑を使い分ける」と、聞いたことがあります。

 

ひとつは慣行栽培

ひとつは無農薬で栽培

 

この場合、どちらに愛情を込めているのでしょう?

 

 

ココで農薬や化学肥料のもつ毒性を、うんぬん言うつもりはありません。

 

 

あなたが「きゅうり」を口にするとき

あなたが家庭菜園で「きゅうり」を育てるとき

少しでいいから「きゅうり」の一生について、考えるきっかけになれれば……。

 

 

 

「きゅうり」の一生について、慮(おもんばか)ること、そして行動(選択)すること。

 

 

 

それが

 

 

 

愛される「きゅうり」の育て方

 

 

 

あなたの選択が、愛される「きゅうり」を育んでいくのです。

 

 

 

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