俺の雫(しずく)No.2 12月15日 その1
2017/03/14

あの日仕込んだ醤油があんなことになるなんて、俺たちはまだ知らない
ナチュラル男子の「俺」が「しょうゆ」をつくるノンフィクション。
前回まで
天然菌と自然栽培によるお醤油キットを手に入れた「俺」。
手にした安堵も束の間。
小さな異変に気づきはじめるのだった。
2015年12月15日
なにか違和感を感じる。
「お醤油キット」はすでに「俺」の手元にある。
我が家の台所、食器棚の上に鎮座し奉(たてまつ)っている。
すぐにでも仕込む予定だったが少々延期していた。
理由は単純だ。
息子(5才)と一緒に仕込みをしたかった。
「俺」の帰宅時間はおおよそ21~22時。
当然、息子は夢の中。
次の休みに仕込もうと考えながら、すでに4日ほど経過していた。
なにか違和感を感じる。
「お醤油仕込んだ?」
声をかけてきたのは、商品開発部の彼だった。
彼が高身長なのはお伝えした通りだが、それだけではない。
あなたはジャイアント馬場をご存じだろうか?
日本プロレスリングの代名詞とも言える存在だった。
有名な技に16文キックというのがあった。
ジャイアント馬場の足の大きさにちなんでつけられた技の名前だ。
彼の靴のサイズは、ジャイアント馬場のそれと見劣りしない。
子猫チャンなら五匹ほどは住まえる間取りだ。
何か違和感を感じる。
(彼をネタにし過ぎたことへの罪悪感か?)
(心のなかでアラウンド馬場、アラババと言っていたことに対する罪の意識か?)
※アラフォーみたいな感じです
俺:「お醤油まだ仕込んでないんですよ~。えへへ」
彼:「あれ?言ってなかったっけ?」
彼:「醤油麹(こうじ)は、解凍したら早めに仕込んでね」
彼:「解凍して時間がたつと、醗酵力が弱くなることがあるから……」
醤油麹の写真
俺:「な~にぃ~~~~!!!」
俺:「聞いてない、聞いてないよ~!」
彼:「まぁ。冬の時期だし1週間程度は大丈夫だと思うよ」
違和感を感じて当然だった。
冷凍で納品されたお醤油キット。
「俺」は、すでに常温で4日保存している。
ひい・ふう・みい・よ・いつ……。
おいおい、週末まで持たないじゃないか……。
賞味期限が切れたものでも、臭い判別で食べちゃう「俺」だけど、今回は違うんだよ!!
もちろん厳密に1週間をカウントするつもりはないけど、今回は違うんだよ!!!
もう、タイトル決めちゃったんだ。
妄想しながら決めちゃったんだ。
「俺の雫(しずく)」
スタートから頓挫(とんざ)するわけにはいかないんだよ。
ミッション発動
「俺と仕事とゴールデンタイムと」
やることは3つ
1.速やかに今日の仕事を済ます
(明日は明日の風が吹く心もち)
2.速やかに帰宅する
(19時~20時帰宅が望ましい)
3.息子と醤油を仕込む
(神速に)
障害は1つ
寝た子を起こさない
起こしたら最後、奥さんに一番嫌がられるやつです。
しかし、今回はハードルが高過ぎる。
そもそも、息子が19時台に寝ていたらこのミッションは成立しないのだ。
だが、悩んでいても仕方がない。
今やれることに全身全霊を尽くす。
会社を出たのはおおよそ20時。
早く見積もっても帰宅時刻は20時20分。
その時点で、ミッション成功率は50%ほどへと下がっている。
息子の睡眠ラインはおおむね20時30分。
基本的に「俺」はこの時間帯に帰宅することを避けている。
それは取りも直さず、寝た子を起こさないことが理由だ。
逆に、息子が21時30分を過ぎても起きていると、それは覚醒となる。
覚醒とは「簡単には寝ませんよモード」である。
世の奥方が最も恐れるヤツである。
自宅の100m手前でバイクのエンジンを切り、静かに家の前までたどり着く。
もしも寝ていたら、エンジン音で起こしてしまうゆえの計らいだ。
鍵を回し、家の扉をあける。
時にして20時25分。
ミッション成功率は25%にまで落ち込んでいる。
「た」・「だ」・「い」・「ま」・「ぁ」
一字、一句、中の様子をうかがうために慎重に放つ。
反応がない……。
やってしまったのか?!
ミッション失敗なのか?!
もう一度、少しボリュームを上げてみる。
「ただい」・「まぁ~」
「……」
ミッション成功をあきらめ、靴を脱ぎ家へと入る。
「おかえり~!! いしま~ん!!!」 (息子)
※「俺」は「いしまん」と呼ばれている。理由はいずれわかる。
「うあぁ。おぎでだ!!」
※驚くと東北弁が出る。それも「俺」。
おっしゃ~!!
第一関門突破!!!
残すミッションは神速なる仕込み。
※神速(標準語ではありません。迅速を遊んでいます)
まさかの「プチドッキリ」にしてやられる。
息子もなかなかの「エンターティナー」になったもんだ。
曲がりなりにもミッションを乗り越えた「俺」。
あとは息子と醤油を仕込むだけ、なんて、高を括(くく)っていた「俺」。
しかし、おとぼけ全開の「俺」は、自作自演の「ハードル」を用意しているのだった……。
この時
仕込み用の容器を
準備していないなんて
「俺」はまだ知らない
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