俺の雫(しずく)No.1 12月某日
2017/03/14
あの日仕込んだ醤油があんなことになるなんて、俺たちはまだ知らない
ナチュラル男子の「俺」が「しょうゆ」をつくるノンフィクション。
2015年12月某日
いつものように作業を終えて、デスクワークをしていた「俺」。
「俺」は「ナチュラル・ハーモニーWebショップmaiの店長」をしている。
そんな「俺」のもとに、ある一報が入ってきた。
「お醤油の手作りキットがあるんだけどいる?」
声をかけてくれたのは、身長186㎝の大男。
体の大きさとは裏腹に、彼の仕事は細やかな配慮が必要とされる。
そう、彼は商品開発を担当している。
仕事内容は、「変態」と賛美されるほどの探究心と好奇心、そしてこだわりを要する。
そんな彼が声をかけてくれた……。
(まちがいない!)
(おもしろい話だ!)
競るような気持ちを抑えながら。
「う~~ん…… 余るんだったら買おうかな~」
社内での「俺」キャラを保つためには、多少なり表現をコントロールする。
天邪鬼(あまのじゃく)。
それが「俺」。
「じゃぁ、欲しい人リストにカウントしておくね」
よっしっ!!
土俵には上がったぜ。
「余りますように~」と祈りながら、
運を天に任せることにした。
数日後。
本社に「お醤油の手作りキット」が届く。
原材料は
天然菌の醤油麹(こうじ)
……(無言)
まてまてまてーい!
天然菌の醤油麹だと?!
つ・ま・り
「蔵の雫」と同じ原材料で、
「俺」仕様のお醤油がつくれちゃうってこと!?
「うひょひょー!」
こんな手作りキット、そうそうお目にかかれませんぜ!
(余るかなぁ……?)
……(思考停止)
そうだ!
運を天に任せるのはやめよう。
神頼みしない漢(おとこ)。
それが「俺」。
ミッション発動
「俺とお支払いとお醤油キットと」
やることは2つ
1.速やかにお支払いを済ます
(キャッシュが望ましい、お釣りも避けたい)
2.速やかにブツを頂戴する
(保管温度に注意、麹は冷凍されている)
障害は1つ
人目に付くことは避けねばならない。
「う~~ん…… 余るんだったら買おうかな~」
なんてことを、ぬかしてしまったんだ……。
「店長」として、「余る」前に購入するのは……気が引ける。
俺がとった行動は単純だ。
- お釣りが出ないように、現金をデスクでこっそりと仕込む
- そそくさと休憩時間に支払いを済ます
- 早々にブツを確保する
- 退社時間まで、人目のつかない場所にブツを保管する
終わってみれば、ミッションと呼ぶほどの代物ではなかった。
そして、「店長」という肩書よりも、「コソ泥」と呼んだ方が似合っていたかもしれない。
(ちゃんとお支払いはしておりますが、少し気が引けただけです)
そして、「俺」は心の中で呪文を唱えていた。
「あせらない、焦らない」
「ひとやすみ、ひと休み」
意外と小心者。
それが「俺」。
力技で運命をたぐり寄せた「俺」。
こっそりと「お醤油キット」の取扱い説明書に目を通す。
そして一人、妄想の世界にふけるのだった。
12月だし、子供のクリスマスプレゼントにしちゃう~?
ちょっと、渋すぎるかなぁ。
どんなお水で仕込もうかな~?
あえて水道水で仕込もうかなぁ。
完成したら、知り合いに配っちゃう?
おいしくできるかなぁ。
寒さも一段と増してきた12月某日。
期待に胸を膨らませながら、家路へとつくその手には「お醤油キット」がひっそりと……。
取るに足らないミッション成功に、安堵している「俺」。
しかし、お醤油を仕込むまでには、まだまだ「壁」が立ちはだかるのだった。
「お醤油キット」に対して
過ちを犯してしまうことを
「俺」はまだ知らない。
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